ピレネー

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【レポート:神﨑 裕一】

ピレネーフラワーハイキング

ピレネーの花が美しい時期に合わせて設定した7月上旬のフラワーハイキング。ガヴァルニー圏谷ローランの裂け目を越えてフランスからスペインへと国境を越えるハイライトの行程をレポートします。


国境越えハイライト

ガヴァルニー圏谷ではゆったり3連泊をしてエスプグエット小屋への周回ルートや圏谷を見下ろすタンテのコルからの稜線歩きをお楽しみいただきました。お客様同士も打ち解け良い雰囲気になった頃、いよいよローラン越えの日です。ホテルの車でタンテのコル(2208m)へ。ホテルのマダムに見送られて出発です。まずはブシャロの峠までは平坦な道を進み足慣らしです。ここから3144mのタイロンの中腹をトラバース。




この日は山頂がはっきり見えませんでしたが、かなり堂々とした存在感のある山容です。途中雨具を付けて、本日の最初の難関です。雪解け水が流れ落ちる斜面を縫うようにして登るルートは、水量によってはとても難しくなります。慎重に流れを渡り、残雪を登っていくとサラデゥ峠(2589m)に到着。反対側にはガヴァルニーの大滝がはるか眼下に。そして、工事中のサラドゥ小屋、さらにはこれから目指すローランの裂け目も見えてきます。カール大帝の甥のローランがサラセン軍に追われ剣を振るった際に出来た跡といわれる高さ約100mの絶壁です。


その後モレーンの上の急登をゆっくりと登るとローラン直下に広がる雪原に到着です。皆様には軽アイゼンを用意してもらいましたが、歩きやすい程度に緩んでいたので、そのままローランに向けて登りました。雪渓を越えるとローランはすぐそこ。しかし最後は岩場が待ち受けているので、焦らず慎重に登ります。前日まで小さな岩のへこみに見えていたのが迫力ある岩壁となって目の前に聳えます。





そしていよいよローランの裂け目(2805m)に到着!風が強いので、登り切った達成感を味わい、記念写真を撮ったらスペイン側へと下り始めます。残雪は少ないものの、ガレ場に足を取られないように下ります。安全な場所でピクニックランチのあと、ローランの裂け目を背にゴリッツ小屋へと向かいます。なんとなくローランの裂け目で達成感を感じてしまいますが、実は越えてからのほうが道中は長いのです。




月面のように荒涼とした風景の中を進みます。登り返しに疲れたころ、たくましく咲く可憐なエーデルワイスが癒してくれます。その後、標高を下げるにつれて花畑や巨石文化の遺跡のような風景が現れます。表現しがたい不思議な景観です。時折雨が打ちつけ、疲れが見えてきたころ、ゴリッツ小屋が見えてきました。見えてからも長く感じましたが行動時間約8時間で無事到着。シャワーもあり快適な山小屋です。そして1日歩いた後のビールは格別でした! 翌日は青空が覗き、マメ科の花に黄色く染められたオルデサ渓谷を歩きます。ピレネーのグランドキャニオンといった地形と黄色い絨毯を作る花々、そしてコース沿いにはたくさんのエーデルワイス。これも昨日頑張ったご褒美です。ローラン越えとともに、この谷の風景も忘れられない風景です。谷を少しだけ歩くツアーもありますが、ここは是非上から眺めて谷底を歩いていただきたい場所です。






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